これがびっくるびっくりネットええ感じのところ

編集していて気づいたのだが、びっくるネットのログは、生半可な量ではないのだ。読むだけで1週間ぐらいかかってしまいそう。こんなことに大事な青春時代を費やしてなるものか...(青春時代なんてとっくに終わってるやろ>おれ..)


Message # 2 is from: SYSOP やねうらお
Time: 96/04/20 21:02:36 Category 1:YANEN 4:ゲームボードなのだ
Subj: いまわしきはFFVなのだ

ゲーセンでビンゴゲームをやって当たったのだ。100円なのだ。早速、カバンに
しまいこみ、帰る途中、誰にもあとをつけられていないことを警戒しながら帰宅し
たのだ。スーファミは押し入れのなかに入ってるやつを取り出し(貰い物)アダプ
ターがないので留守電のを使う。つまり、電話できない。でも、呼び出し音だけは
鳴る。これが鳴ったらすかさずセーブして、つなぎ変えれば良いのだ。ところが、
このFFVというゲーム、どこでもセーブできるわけではないのだ。仕方ないから、
こまめにセーブして電話がかかってきたらいつでも電源を切る覚悟でいる。しかし
ながら、ダンジョンに入るとセーブしたのが、つい1時間前とかいう事態に遭遇し、
泣く泣く電源をつなぎ変えて電話をとると「WIZですけど」とか言われたから、
「うちはラーメン屋だけど出前はやってないよ」と言って速攻切ってやった。

 

Message # 4 is from: SYSOP やねうらお
Time: 96/07/15 2:02:26 Category 1:YANEN 4:ゲームボードなのだ
Subj: 死ぬまでUFOキャッチャー

いま、UFOキャッチャーに燃えている。(UFOプッシャーは、ダメだ。ゲーム
性がない) それも、特大ぬいぐるみ(4,5千円相当)の引き換え券をとるのが、
目下の目標であった。

このぬいぐるみと初めて御対面したのは、1週間前のこと。オルゴールつきで、し
かも、かわいいので、こんなん景品にしてもええんかいな?と思うような豪華なも
のであった。

あまりの感動に、2、3千円ほど使ってみた。(1回200円。3回500円)
たまに、引き換え券の入ったケースに引っ掛かるのだが、なかなかとれない。だい
たい、我輩は目が悪いから、正確な位置に調整できない。少しでも前後にずれてい
ると、ケースがずり落ちる。しかも、遠くにあるやつを狙うと、移動中に下に落ち
てしまう。おまけに、下には段差を汚く作ってあって、アームが深くに入らない。
しかも、アームが伸びてくる過程でずいぶんと位置がずれる。(これは、慣れれば
たいしたことないけど、慣れるまでに10回はやったな。何せ、ずれるんで目安が
つかみにくく、目が悪いので、どれくらいずれているかすぐには確認できない)

そんなわけで、なるべくシュートの近くにあるやつで、かつ、段差がうまいことな
ってる奴を狙えば良いことに気付くのに3千円ほどかかった。シュートの近くにあ
るやつなら、キャッチャーの移動をそれほどしなくて済むので、目が悪い我輩でも、
かなり正確な移動が可能である。そして、そこの店員は、かなりマメなので、10
分に1回ぐらいのペースでケースを置きなおしてくれる。ケースがずれるごとに、
近くの本屋で10分つぶして、また200円使って挑戦する、の繰り返しであった。

そして、やっと取れた!とれたはいいが、赤と青とあって、赤いほーが欲しかった
のに、青いほーがとれてしまった。未練が残る我輩は、また、本屋に行って戻って
きたら、赤いほーの引き換え券が取りやすいところに置いてある。すかさず、200
円を入れてとった。(こんなペースで取り続けられたら、大赤字だろうけど>店)

それを持ってったら、ちょっとイヤな顔をされた。何せ、もう在庫がなく、UFO
キャッチャーのところに展示してやるやつで最後なのだ。こいつを渡してしまうと
客がごっそり減るだろう。しかも、10分前に一個渡したばかりである。ここで、
さいちなら「素直に最初から、赤いほうのぬいぐるみを渡しやがらねぇから、こん
なことになるんでぃ!ざまあみやがれ!いいきみでい!」などと言うのだろうが(
勝手に決めたんなや、そんなん)、ハートフルな我輩は、非常に心がえぐられるよ
うな気がした。

置きなおされたケースを見ると、また200円使えば取れそうな位置にあるではな
いか…いかんいかん。そんな人道に外れるようなマネは絶対にいかん。あっ、いか
んとゆうてるのに、200円入れて…知らんぞ、どうなっても。お前は、店のこと
を少しは考えたことがあるのか。このぬいぐるみ、いくらするか知っているのか?
これをたかが200円ぽっちでとられたのでは、バイトの給料がさらに圧迫され、
二人雇えば楽なものを、その経費を節約して一人で頑張ってもらわねばならないこ
とになるんだぞ。この人は、実際、よく働いているではないか。何せ、10分おき
にUFOキャッチャーの商品の状態を見て回るぐらいだからな。ほとんどひっきり
無しに何かしてはるんだぞ。そのお陰で、お前も2個も特大ぬいぐるみを獲得でき
たのだろう?その人を裏切るようなことをしていいとでも思っているのか?あー、
神様ー、願わくば、ケースが取れませんように…。

その願いは、はかなく、アームがケースをつかんで引き上げた。うわ!思わず、台
をどついた。そのせいで、ケースは落ちた。あー、よかった。それを見ていた店員
が「どついたら、あきませんよ、どついたら…」 い、いや、ケースがとれそうだ
ったんでね、などとわけのわからん言い訳をして特大ぬいぐるみ二つとともに帰っ
た。実に、こころあたたまる物語である。(そりゃ、あんたの錯覚や!)

 

以下の3つの書き込みは、「びっくる」というハンドルで「エターナルネット」と
いうゲーム専門の草の根BBSに書き込みをしたものを転載したもの。すべて19行
ぴったりで終わっているところらへんが芸術的かなーとか何とか思っている。

 

Message # 2 is from: BB001 びっくる
Time: 96/02/29 6:08:58 Category 2:BICKLE 2:作品発表の場
Subj: 主賓の来ないオフラインミーティング篇

 先日、びっくる連合がオフミをした。オフミを知らない人もいるかも知れないが、
花見の類語だと考えるとわかりやすい。つまり、オフを見ながら、その下でどんち
ゃん騒ぎをするのである。オフの花が咲くのは、だいたい年末年始、連休続きであ
ることが多い。実に都合よく咲いてくれる花なのだ。このオフミに、びっくるはT
ANK郎という戦車男を招待していた。何でも酒が入ると、戦車になるぜ!とかわめい
て服を脱ぐらしい。女が周囲にいると、特にその傾向が顕著であるそうだ。戦車に
なっただけでは飽き足らず、いやがる女の頭を鷲づかみにして自分の股間に押し付
け、オレをナメんなよ!オレの大砲をナメてみろよ!などと笑うに笑えない宴会芸
を披露してくれると聞いて、びっくるは心待ちにしていた。しかし、いつまでたっ
ても戦車男など現れない。おい、何で、奴は来ねえんだよ。びっくるはWIZに問
う。そうですね…あっ。ひょっとしたら、水の入れたペットボトル、玄関に出した
ままじゃないですか?あれがあるとあの人は近寄れませんよ。奴ぁ犬猫か!その時、
いい加減しびれを切らした、でーた少佐は1番でーた少佐、会社帰りのサラリーマ
ンからカツアゲしてきま〜す!などと勝手に宴会芸を始めた。そして10分ほどし
て、でーた少佐は息を荒くしながら、先端に血糊がべったりとついた傘を持って戻
ってきた。あはははは。ケチャップかい?びっくるは尋ねた。でーた少佐はうつむ
いたまま何も答えなかった。ま、まさか!そして、そのとき血だらけになったサラ
リーマンが来てこう言った。お、遅くなりまして……すみません…。TANK郎です…。
出血多量のためか彼はその場で力つきて倒れ、楽しいオフミの幕が閉じたのだった。

 

Message # 3 is from: BB001 びっくる
Time: 96/03/14 9:26:50 Category 2:BICKLE 2:作品発表の場
Subj: シャープDOS/V互換機「メビウス」店頭デモCDを焼く!

 その会社には大きな鉄板があった。あとでわかったことだがそれこそがCD-Rを焼
く機械だったのだ。焼くのはそれほど難しくない。キャベツの千切りで下地を作り、
その上に生地となるCD-Rを乗せ卵を割り、表面が狐色になってきたら裏返してソー
スとマヨネーズと青のりをまぶし出来上がりである。せっかく、CD-Rを焼けるよう
になったびっくるは、これでひと仕事をすることにした。CD-Rの媒体は1300円、40
0枚焼くなら2割の不良を見込んで80枚を余分に申告して、その80枚を手中に収めれ
ばそれだけで10万の利益…。しかし、さすがに良心も痛む。そうだ。依頼者に対す
る恨みの分だけ10枚入りの箱を頂戴しよう。まず、これが昔、金がないので仕事を
したのに報酬が現物支給だったのでデート資金に困り、女の誘いを断わった悲劇の
代償分だ。次にこれが、かつてOh!Xの広告に知らぬ間に自分の名前と出身高校名を
使われてしまって、学校中の噂になったときのお騒がせ料だ。これは、俺の原稿を
わけのわからん編集をしてC・ableに載せやがった侮辱料だ。こいつは7万払うと聞
いてwizに5万払って開発させたがwizが完成にこぎつけなかったので5万の
損だけが残った逆恨みの分だ。そしてこれが、終電間近まで雑用をさせられ疲れ切
っていたので間違えて区間快速に乗って五位堂まで行ってしまい帰ってこれず野宿
してしまって風邪を引いた治療費と次の日、仕事に行けなかった損失補填分と、家
の者には女の家から朝帰りだと思われてえらく迷惑した迷惑料と、弟子からもアホ
扱いされた侮蔑料だ。これで80枚はこのびっくる様のものだ。どうだ参ったか!こ
のびっくる様は、80枚程度の着服では良心はこれっぽっちも痛まぬわ!がはははは。

 

Message # 4 is from: BB001 びっくる
Time: 96/03/29 20:05:54 Category 2:BICKLE 2:作品発表の場
Subj: ナタデココファイター、ステーキワン

 びっくるはファミレスでは元を取ることをポリシーとしている。ファミレスとい
う言葉にいまいち聞き覚えがない、ご老人たちは、ファミリーレスの略語と知られ
たし。つまり、家族ぐるみでレスを返してくる嫌味なネット集団のことなのだ。そ
れも、同じIDを家族で使いわけている奴とかもいて、ややこしいことこの上ない。
先日などは、このネットで便器と名乗るものから電報で襲撃されたのだが、Wコマ
ンドでIDを確認すると何と瀬野っちのIDではないか。瀬野っちめ。弟の名は便
器かよ。とりあえず、はじめましての挨拶でもしておかなくては失礼だという義務
感が芽生えたびっくるは「うんこぷー!」と送ることにした。この挨拶を電報で送
るほうが失礼だというツッコミはこの際、無用である。…何?「そのチャンネルは
ログインしていません」だと。何を言うか。ログインしてないで済むかよ。ログイ
ンしてなかったら、さっきアクセスしてた奴を電話で呼び出せよ!そのための入会
時に電話番号を登録してやってんだろ!まあいい。こうムシャクシャするときは、
ステーキ1で食いまくるのに限る。びっくるは近くのステーキ1に行くと早速ハン
バーグ定食を注文するや否やその席を立ち上がり、寒天に混じっているナタデココ
だけをせっせと拾い集めた。誰も気付いていないようだが、ステーキ1のバイキン
グのうち最もグラム単価の高いのは、このナタデココなのだ。ハンバーグにナタデ
ココをかけて、平らげた。ポタージュにもナタデココを入れた。ゆで卵にもナタデ
ココをまぶした。マカロニにもナタデココをふりかけた。そしてその街のステーキ
1からナタデココが姿を消した。どことなく家族の笑い声も消えたような気がした。

 

Message # 15 is from: BB001 びっくる
Time: 98/01/15 14:28:06 Category 2:BICKLE 2:作品発表の場
Subj: サルにもわかる華原朋美(入門編)

島田 「びっくる先生!びっくる先生!ともちゃんからクリスマスプレゼント
が届きました!」

びっくる「これかにゃ?」

島田 「そうです。このアルバムです」

びっくる「このアルバムなら、いらないにゃ。頭がおかしくなりそうな歌詞だにゃ」

島田 「何をおっしゃるのですか!Hate tell a lie.Hate
tell a lie.や〜さしく、なれた〜。ノリノリじゃないですか!」

びっくる「その歌詞もそもそもおかしいにゃ。やさしくなれた、の主語は誰にゃ?」

島田 「そりゃ、<私>に決まってるでしょ!もっと具体的には、華原朋美その
人ですよ。みなは、彼女に感情移入しながら歌うんですよ。だから、華原
朋美はアムロと同じくステータスでありシンボライズされうるんですよ!」

びっくる「おまえの言うことは、どうもわかりにくくてかなわんにゃ。この際だか
ら、根掘り葉掘り聞いていいかにゃ?」

島田 「ええ」

びっくる「Say good−bye!
おはようさえ言わなかった街の雑踏で
手をふって顔が見えなくなるまで

の部分、おはようさえ言わなかった街の雑踏って何だにゃ?わけわからんにゃ」

島田 「そこね、言わなかったのあと、一度切れるんですよ」

びっくる「はにゃ?」

島田 「おはようさえ言わなかった、マル。おはようさえ言わなかったけど、
せめて、さよならだけは街の雑踏で手をふって相手の顔が見えなくなる
まで言おう!の意味ですよ。出会いより別れを大切にする世代なのです。
そして、この文は倒置されていて、これで完結しているんです。ついで
に言えば、〜までという部分が継続性や連続性を想起させ、豊かなイメ
ージを作り出しておるのです」

びっくる「ちょっと待つにゃ。倒置は、まあいいとしよう。歌詞カードがどうも
読み辛いのもいいとしよう。その、豊かなイメージもよしとしよう。で
も、なんでSay good−bye!がさよならを言おう!なんかにゃ?
これは命令文で、さよならを言いなさい!と違うのかにゃ?」

島田 「いや、華原朋美には命令文なんか存在しないわけですよ。主語は、常
に<私>なんですよ。もっとも、<私>に感情移入して歌うことが前提
    とされるわけですから、<私>というのは、私達でもあるわけですが」

びっくる「そうなんかにゃ?そしたら、

いつからか どこからか

Hate get pill
Hate tell a lie 輝きたくて

の主語も、<私>なんかにゃ?」

島田 「当然ですよ。I hate tell a lie.の意味ですよ」

びっくる「そんなことはどうしてわかるにゃ?」

島田 「先生、

Don’t say ”Yes”
あんまり楽にイエスを言わないこのキャラクター

っていう部分がありますでしょう?ここからも、I don’t say”Yes”
の意味であることは明白です。コンテクストをしっかり見てください!」

びっくる「ちょっと待つにゃ。それなら、I hate to tell a lie.
だとか、I hate telling a lie.だとか言うべきと違
うのかにゃ?」

島田 「そんな問題ではないのですよ先生!そもそも、華原朋美の世代という
のは、英語なんてろくに知ってやいません。Hate=嫌い。tell
=言う。lie=うそ。で、うそ・言う・嫌いとコード化して認識して
おるのです!シングルのジャケットにも、そんな馬鹿な女子高生が辞書
で引いたかのような注釈が書いてあったことからも、それは明らかです」

びっくる「なるほど!わかってきたにゃ。それじゃ、

なんだって飲みすぎはよくなくて ほら
そこの飲んだくれ 飲みすぎなあの子を助けて

はどういう意味だにゃ?なんだって、の部分はどこにかかっててるんだにゃ?そ
もそも、どうして飲んだくれに飲みすぎなあの子を助けてもらわなきゃならんの
だにゃ?」

島田 「先生!まだわかってらっしゃらない。なんだって=何にしても=どん
なものであれの意味です。飲みすぎの飲むとは酒に限りません。get
pillの部分と意味的な連鎖もターゲットに入っています。この部分
の歌詞、実際には歌われないのですが、歌詞を作ったときの意図を読む
意味でも、ここを考慮に入れるべきでしょう?そこで、なんだって飲み
すぎはよくない、と乱暴に一般論を導き出てから、飲んだくれ=酔っ払
いに対して、売春するためにピルの飲みすぎなあの子を、同じ飲みまく
っている者なんだから、助けてあげてよ!あんた、あの女の子と誘って
ホテル行くのはもうやめてよ!という風に、類に対する救済を求めてい
るのです」

びっくる「そこまで読めるかにゃ?深読みしすぎでないかにゃ?」

島田 「そう読めるようにテクストが編んであるのですから、そう読んでも構
わないでしょう?先生は、ポスト構造主義はお嫌いですか?」

びっくる「わかった。わかった。わかったにゃ。それと、

たいくつな告白されちゃって
ブラックホール抜け出したように友達ぶってる輪の中
プイッと抜け出したよ
下らないバカらしい そういう態度をもしとったら
負けたくはない

の部分、なんとなくわかるんだけどにゃ、まわりから、下らないだとか、馬鹿ら
しいとか言われたら、なんで負けたくないんかにゃ?」

島田 「先生!それは大きな誤読です。上3行は、具体的事実であり、そこか
ら下2行を演繹したことは意味的連関性から明瞭です。つまり、たいく
つな告白=(<私>から見て)下らないバカらしい態度であり、友達ぶ
ってる輪の中をプイッと抜け出す=負けたくない、なのです」

びっくる「そんなのわからんにゃ!ぜんぜん明瞭でも何でもないにゃ!」

島田 「先生、若い世代というのは、言葉のニュアンスで主語を決定するんで
す。毎月のクレジットや洋服と言えば、<私>の話ですし、告白はする
ものではなく、されるものですから、主語は<他者>です」

びっくる「なんとなくわからんでもないけどにゃ、どうして告白はされるものな
んだにゃ?」

島田 「それは、自分で告白なんてしなくても、まわりからチヤホヤされると
いう華原朋美の深層にあるナルシスを思考フィールドに置いて考えれば
当然のことでしょう?また、それに共感する若い世代の女の子の心理も、
また然り、です」

びっくる「ふーむ。だんだんわかってきたにゃ。そしたら、

けんかは自分が甘えたい人 自分の理解を教えたい人
間違っても あきらめないで 見守ってる人 oh〜
そういう人がこの手の中 ポケットの中に宇宙の中に かくれていたよ

は、けんかは、自分が甘えたい人や、以下の人たちとします、で一度切れて、そ
こから、そういう人が、と接続することによって、芋蔓式に文章を形成しとるわ
けかにゃ?」

島田 「惜しいですが、読みが足りません。ここは、この手の中=ポケットの
中=宇宙の中と、並列に列挙されているのがポイントです」

びっくる「そこだにゃ。そこが、よくわからんかったんだけどにゃ。ポケットの
中=見えない場所、宇宙=手の届かない場所で同じようなニュアンスな
のはわかるんだけどにゃ、この手の中なら自分の手が届く範囲なんでな
いかにゃ?」

島田 「だいぶ、近づいています。この世代というのは確かに、宇宙について
何もイメージなんてもってるはずはないから、思考の及ばない、想像も
不可能な領域として認識しています。そこで、手の届かない場所という
のは、妥当な圏内です。手の中というのは、握っていると見えない部分
ですから、そのためには手を開くというアクションを起こさないといけ
ません。そのアクションがすなわち、上のコンテクストに存在するけん
かをするという行為でありまして、けんかをすることによって、見えな
かったものが見えてくる、わかりあえる、案外この人は、いい人だなっ
て気付くことができる、あるいは、できた、と言っておるのです」

びっくる「なるほど、手のひらの中→ポケットの中→宇宙の中というのは、スケ
ールを徐々に拡大する列挙だったわけかにゃ」

島田 「いや、それだけではありません。単に空間的な広さだけではなく、闇
の濃度があがっています。それはすなわち、アタッチするのに、どれほ
どの労力が必要かというイメージの想起を担う部分です」

びっくる「なるほどにゃ。だいぶわかってきたにゃ。そしたら、

人の波にさらわれそうでも 1mmも動けなかった
守りたかった

というのは、人の波=街の雑踏、守りたい=1mmも動けない、1mmも動かな
いことが守るという行為であって、守るというのはずっと側にいることで他の女
性から、守るという華原朋美の独占欲からくる言葉の用法かにゃ」

島田 「その通りです、先生!それでは、最後の

Hate tell a lie やさしくなれた やさしくなれた

の部分は、どうしてやさしくなれたか、もうおわかりですね?」

びっくる「わからないにゃ」

島田 「おわかりですよね?」

びっくる「わからないにゃ」

島田 「おわかりでしょ?」

びっくる「おわかれだにゃ。シャイなら〜」

島田 「せんせー!せんせー!待ってください。せんせー!」

つづく

 

Message # 16 is from: BB019 淀川ふな夫
Time: 98/01/28 17:29:48 Category 2:BICKLE 2:作品発表の場
Subj: Re:15)サルにもわかる華原朋美(入門編)

 いや、お見事。確かに分かりやすいし、面白かったです。
 ただ、そう世代、世代と乱発しないで欲しいですね。そら、ともちゃんが、僕と
同世代なんは認めますが、「出会いより別れを大切にする世代」はまだいいとして、
この「世代というのは、英語なんかろくに知ってや」いないとは失礼な。やねさん
こそ、「華原朋美=若い女=ルーズソックス=馬鹿=ふな夫」てな感じのアホな連
想で、文章書いてるようにも見えるんですが。しかし、そこまで連想できるような
テクストだとは、僕も思います。はい。僕英語よく知りません。出会いどころか別
れだって大切にしちゃいません。はい。

 それと、もう一つありました。

 Hate get pill
Hate tell a lie 輝きたくて

及び、

 なんだって飲みすぎはよくなくて ほら
 そこの飲んだくれ 飲みすぎなあの子を助けて

 この部分の読解です。僕はこの歌の歌詞をよく知らないんで、先に確認したいん
ですが、"get pill"以外に、何か売春を想起させるような言葉が他にあるんですか?
 ないんだったら、これを売春と読むのは難しいと思います。やねさん、「pill=
避妊用ピル=売春=女子高生=若い女=華原朋美」という、極めて品性下劣な連想
が働いてやしませんか?それは、「おっさんの幻想」ですよ。ちょっと無理なリン
クだと思うです。だって、売春に対して"get pill"という行為は副次的な立場にあ
りますから、これを売春と読むならば、「なんだって飲みすぎはよくなくて」は
「なんだってヤリすぎはよくなくて」あたりでないと、整合しにくい。しかし、こ
れも嫌な連想が働くなあ。確かよくなかったですね、ヤリすぎ。
 ともあれ、僕なんかはむしろ、「pill=錠剤=薬物=ドラッグ」、「飲んだくれ
=おっさん=親・教師」ぐらいの連想をするんですが。だからこの部分は、「なん
だって?飲みすぎはよくなくて?あんたら、そんな偉そうなこと言うぐらいなら、
自分達はどうなのよ。ねえ、そんなに偉いんなら、ドラッグに染まったあの子を助
けてみてよ!」という叫びと僕は認識しました。

 んー、どうでしょうね、ちょっと自信あるんですけど。コメント宜しく。

 

Message # 17 is from: SYSOP やねうらお
Time: 98/01/28 22:51:58 Category 2:BICKLE 2:作品発表の場
Subj: Re:16)サルにもわかる華原朋美(入門編)

そそそそそ。まー、そうやね。別に、異論は特にないよん。僕自身、

> 「出会いより別れを大切にする世代」はまだいいとして、

「出会いより別れを大切にする世代」という解釈すらも、おかしいと考えている。
参考までに、この続編として書いていた文章の一部をお見せする。(書きかけて、
うまくまとまんないから、お蔵入りしてたのね)

----------------------------------------------------------------------------
華原朋美補完計画(躍動編)

島田 「びっくる先生!びっくる先生!大変です。前回の書き込みについて、ファ
ンレターがたくさん届いてます!」

びっくる「どんなだにゃ?」

島田 「何を言っているのかさっぱりわからん、どっか行けという励ましのお手紙
が約半数、よくぞあれだけ読解したな今度、一杯、おごってやるぜという趣
旨のものが約半数」

びっくる「それで全部かにゃ?」

島田 「それ以外には、続きを早く書けというのが一通、内容がおかしいという反
論めいたものが一通です」

びっくる「その、最後の奴は、どういう奴だにゃ」

島田 「ええ。内容を読み上げます。びっくるさん、島田さん。こんにちにゃ!」

びっくる「こんにちにゃ!」

島田 「
(中略)

島田さんのおっしゃられるような『出会いより別れを大切にする世代』とい
う解釈は、まったく見当外れだと思います。ここは、この歌詞の主題にもま
つわることですが、やさしくなれたのは、そもそも、おはようの挨拶は出来
なかった自分が、『何から何まであなたがすべて私をどうにか輝かせるため
苦しんだり悩んだりして頑張っている』ところを目の当たりにして、せめて
さよならだけはしっかりと言おうと決心した、そういう心境の変化のことを
シグニファイしているのではないのですか?」

びっくる「うひゃー。何、言ってんのかさっぱりわからんにゃ!」
----------------------------------------------------------------------------

という読解が一番、近いと思っている。本文中にあった、島田の「そういう世代」だ
の何だの言うのは、テクスト外に理由を求めようとする行為であって、読解の基礎に
反している。理由は、あくまでテクスト内に求めるべきだろう。その意味でも、ふな
夫の指摘とゆーのは、まー、妥当なもんやと思います。

> 「pill=避妊用ピル=売春=女子高生=若い女=華原朋美」という、極めて品性
> 下劣な連想が働いてやしませんか?それは、「おっさんの幻想」ですよ。

これは、僕の読みとしては、以下の通り。

1.シングルのジャケットにhate=嫌い、tell=言う、lie=嘘 と
書いてあったことからも、英語の苦手な者を対象に歌詞が書かれている。

2.また、島田の指摘にもあったように、hateの動詞としての用法が、文法的
にはおかしいことからも、書かれているのは純粋な英語ではなく、和製英語である
と考えるべきである。

英語の苦手な者に対して、「ピル」の日本語としての意味合いを問えば、当然、経
口避妊薬だろう。(この客観性が怪しいと思うなら、たとえば、カタカナ辞典を引
けば良い。外来語として「ピル」が日本でどんな意味がどれくらいのウエイトを持
つのかがひとめでわかる)

そもそも、

 Hate get pill

は、正確には、hate taking a pillとでも言うところであって、pillはcountable
だから、a pillかpillsもしくは、the pillのように使用しないといけない。それ
が、じかにpillと書かれているのは、まさに外来語としてのピルを意味するもの
である。

3.

 Hate get pill
Hate tell a lie 輝きたくて

ピルを飲みつづけると身体的にはずっと生理中のような状態が続くので、肌の木目
が失われ、皮膚は荒れて、ふきだしものが出てきたりする。「輝きたくて」は、素
肌のことを言っているとも考えられる。

一応、ふな夫の指摘を検討しておこう。

> だって、売春に対して"get pill"という行為は副次的な立場にありますから、
> 「pill=錠剤=薬物=ドラッグ」、

まー、僕の1.2.が間接的な反論になってるが、get pillから売春をイメージす
るのが困難かというと、そうでもないと思う。彼氏のために、わざわざピル(=経
口避妊薬)を服用する奴が何人いるのか。パーセンテージで言えば、売春目的が一
番多いのではなかろうか。それに対して、錠剤=ドラッグというのは、やや一般性
に欠けると言えなくもない。(まー、間違っているということにもならない。どち
らの読解がより妥当かってーのは、ひとつでも証拠をあげたモン勝ちって雰囲気に
なってきそうなんで、まー、適当なところで切り上げたいと思っている)

> 「なんだって?飲みすぎはよくなくて?」

     ・・・
そうとも、とれる。実のところ、そう読むのが一番本筋ではないかという気もする。
(pill=ドラッグかどうかは別にして)

あと。おまけ。

この歌詞で、
・「きらいって言うのは簡単で」「あんまり楽にイエスを言わない」
・「自分らをみんな守るだけだって」「守りたかった」
・「やなことが多すぎて毎日が何だかとてもslowly」「なんだかね1日が終わると
ね、振り出しに戻ってる気がして」

のように、僕があげなかった部分については、明確な関連性や対称性を指摘できる。
(あまりにも明らかすぎるので、あえて指摘していなかったのだが)

そういう部分を考慮して読むと、この歌詞の主題である「Hate tell a
lie」というのは「うそつきも多すぎて、自分らをみんな守るだけ」の部分であ
って、それに対する嫌悪から「(あなたを)守りたかった」という心理が反動形成
されている。そこには、「何から何まであなたがすべて私をどうにか輝かせるため、
苦しんだり悩んだりして頑張ってる」という優しさに触発された意味もあり、その
結果として「おはようさえ言わなかった」けれど「手をふって顔が見えなくなるま
で」さよならを言おう!という行為として如実に現れている。(そう!ふな夫の指
摘にあったように、おはようさえ言わなかったけれど、さよならを言う世代などで
はないのだ!理由はすべてテクストに潜んでいると考えるべきだ!自分の読みの甘
さを世代だの何だの言うのはやめろ!ということになる)

 

Message # 18 is from: SYSOP やねうらお
Time: 98/01/31 20:10:36 Category 2:BICKLE 2:作品発表の場
Subj: あのとき誰も彼女がまさか

 「ラブホテルってなんで入り口にあんなビラビラついてるのかなぁ」

 ことの発端は、その発言だったように記憶しているが、いまとなってはどうでも
良いことだ。

 「あのビラビラをくぐるとき、私、なんだか嬉しくなっちゃうのよね」

 我々は、不思議な空気に包まれていた。来てはならないところに来てしまってい
たような気がした。そんな空気を正常化すべく、僕は真面目な意見をその場に投入
した。

 「あれは、赤線の名残でないかな」

 「アカセン?って」

 「赤線って知らないかな。進研ゼミで、添削してくれる...」

 「そりゃ赤ペン先生だ!」

 僕のいた補助席に、後ろから谷町が突っ込みを入れた。運転していた沢井は、赤
線を知っていて、僕の言葉を丁寧にフォローしてくれた。

 「昭和33年に売春禁止例が施行されるまでは、売春は一種の職業としてパブリ
ックな存在だったんですよ。赤線と言って、ここから先は、風俗地帯ですよという
ような”目印”が存在していました。ラブホテルのあの”ひらひら”がその名残か
どうかはわかりませんけれど、そういった象徴的意味合いが多分に含まれていると
...そういうことを彼は言いたいんだと思います」

 「あれは昭和33年だっけか。うーん。よく覚えてないなぁ」

 「そりゃそうだろう!生まれてたわけでもあるまいし」谷町がまた突っ込みを入
れた。沢井は、軽く会釈したかのように笑った。これで、何もかも元どおりに正常
化したかのように思えたとき、彼女がまた喋り出した。それは、独り言にも似たさ
さやきのようでもあった。

 

 「この先、もう少し行くとね、街が見渡せるようになるのよね。私の実家も、こ
ういう山手にあってね、空気の澄んだ日には神戸の明かりまで見渡せるの。酔っ払
って、どうにかこうにか、難波から帰ってくるとするでしょ。そしたら、ああ、さ
っきまで、自分もあのちっぽけな光の中にいたんだなって思うの」

 車は何度か坂道を登っていた。なるほど背後には美しい夜景が展開されていた。

 「そして、あのちっぽけな光のなかでは、まだべろんべろんに酔っ払っている人
たちがいて、いまごろ終電がなくてどうやって帰ろうかと困っているんだろうなっ
て」

 「それでも、こんな遠くに住んではるんは、西原さんだけですよ」沢井が茶化し
た。「あの人たちは、タクシーでも拾えばすぐに家に帰れるんです」

 「かもね...」

 谷町は家に着いたので、車を降りてトランクからアコースティックギターを取り
出した。

 「ああ。せっかくあの光のなかから離れてここまで来たのに、また、あのなかに
戻って行っちゃうのね」

 「薄汚れた喧騒と雑踏のなかにね」沢井がそう追加した。

 「きっと、谷町君は、私たちのことを”見下す”んでしょうね。文字どおり」

 「あいつらはなんて”小さい”奴等なんだって...ね」僕が付け足した。

 車の外にいた谷町は僕らが何を言っているのかはわからず、ただ手を振っていた。
 僕たちも手を振り返した。そんな彼を別世界の人間でも眺めるようにしながら。

 「行こうか」沢井は、そう言うと同時にアクセルを踏んだ。

 谷町が手を振って見送るなか、また僕たちは、汚らしい下界へと降りて行ったのだ。

                          (ノンフィクション)


どうでしたでしょうか?楽しんでいただけたなら幸いであります。

それではバーチャルびっくるネットへの投稿、お待ちしてます。

'99/4/4 やねうらお編纂