§1.プレステのコントローラをBM98で(PICSTART PLUSの勧め)

坂田さんがやっていたような、キーボードを潰してっていうのは、お手軽だけど、なんだかダサい気がする。MIDI入力するようにすれば同時押しなどの判定も可能だ。

しかし、そのためには、MIDI信号を送るためのハードを用意しなけれならない。やねうらおがお勧めするのは、PICというMicrochip社のプログラマブルなIC(?)を利用することだ。

Microchip社のHP:
http://www.microchip.com

このPICというのは、ワンチップにCPU+ROM+RAMと入ったものと考えればわかりやすい。電源さえ与えてやれば稼動可能で、いま、密かにブームになりつつある。

このチップ自体は、実に安いのだ。スペックはいろいろ選べるのだが、OTP(One Time Programming すなわち、一度しか書き込めないもの)で、一番安いもの(PIC12C508とか)なら、200円台で入手できる。シリーズには、ADコンバータ付きのものもあるし、ボイスチェンジャなども簡単に作れそうである。なんと言ってもRISCチップなので実に速い。

簡単な制御系で、従来、ワンボードマイコン等を使用していた分野もPICの応用が期待されている。また、PLDなんかの代用にもなりそうだ。

さて。問題のPICへ書き込むには、どうすれば良いのだろうか?

PICへ書き込む装置のことを、PICライターではなく、PICプログラマというようなのだが、一番お手軽にプログラムするには、PICSTART PLUSという入門キットを購入することである。


 

やねうらおが購入したPICSTART PLUS。シリアルポートに接続して使用する。付属品は、パソコンと接続するためのケーブル、こいつの電源アダプタ、開発ツール一式とデータシート一式入ったCDROM(データシートは、microchip社のHPから日本語のやつをDLしてくるほうが良い)、開発関係のマニュアル(英語)が数冊である。ちなみに、後ろのキティちゃんはついてこない。(言われんでも、わかるって!)

ちなみに、やねうらおが買ったときには、評価用のチップとして、PICの16C84(これとほぼ同等の16F84は800円である)というチップがおまけでついてきた。PICSTART PLUSの値段は、大阪日本橋のシリコンハウスで29,800円なり。


PICSTART PLUSを用いれば、40ピンまでのPICにならすべて書き込める。ほとんどのPICを網羅していると言っても良い。40ピン以上でも、別売のアダプタを使用すれば、書き込めるようだ。40ピン以上のものは、17Cシリーズの一部で、USARTシリアルポートを2つ搭載してるものだが、フツーのユーザーは、めったに使うことはないと思うので(いまのところ入手自体困難だし)まあ、そのへんは良しとしよう。

しかし、3万前後するPICSTART PLUSを購入するのは、趣味で電子工作をする者にとっては、少々痛手かも知れない。そもそも、開発環境(アセンブラ、リンカ等)は、インターネットですべてダウンロードできるので、PICプログラマだけ製作してしまう手もある。回路図は、本家本元のMicrochip社からダウンロードできる。なんとも太っ腹な会社である。自作すれば、部品費自体は、3〜5千円だと思う。秋葉原の秋月通商で自作キットの部品がセットで売られていたと思う。あと、PICプログラマにPICを使用すれば、さらに安くで仕上がる気もするが、そのPICは、どないして焼くねん?という突っ込みが入りそうなので、ここでは割愛する。

Microchip社は、PICSTART PLUSで金儲けする気がないのか、PICプログラマの回路図がDLできるのみならず、PIC開発環境は、サードパーティのPICプログラマにも対応している。

ところで、数あるプログラマブルなチップのなかで、PICが業界ナンバーワンの地位を確立したのは、低コストでかつ、高速なRISCチップであることもさることながら、まず生産ラインが安定していることが大きな要因だと思う。誰しも供給の安定しないものをターゲットにする気にはなれないから...

ただ、特定のチップというのは、なかなか入手しにくい。チップの世界では、小売店では、最小ロットとして1レール(通常50個)単位で購入するのだが、50個も入荷してもなかなかハケないものは、なるべく仕入れたくないのが経営者判断である。

大阪では、この手のものを小売で扱っているのは、日本橋のシリコンハウスぐらいなのだが、ここで扱っているのは、たかだか20種にも満たない。また、秋葉原価格(秋月通商)に比べて、少々高い。シリコンハウスの店員に聞いたところ、10個以上なら1割引とのことであったが、100個や1000個でも、一割しか引かないらしい。秋葉原で200円で売ってるもん、310円て、なんでやねん〜。100個買うたら、1万円ちこう変わってきよんがな。ざけんなボケー!とか強気なことの言えない内気で引っ込み思案なやねうらおは、あかんべーして帰ったのであった。(どこが引っ込み思案やねん...)

この、PICを用いて、プレステ版のビートマニアのコントローラを、BM98で使用できるようにしたのは、やねうらおがハードウェア工作の師匠とあがめる、加島さんである。

加島さんのHP:
http://www.keisei.tsukuba.ac.jp/~kashima


以下の写真は、加島さんにいただいたもの。

プレステのコントローラーから、パソコンのJOYSTICKポート(MIDI入力)へ接続して使用する。左に写っている黒い箱のようなものにPICを仕込んである。ちなみに、このミッフィーの通販広告は、加島さんにいただいたものではない。(んなこと言われんでもわかるって...)


このコンバータ、非常に丹精な作りとなっているし、手も込んでいる。また、加島さんはPIC用のソースプログラムも公開されている。これ一つでタイプマニアにも対応しているし、スクラッチには、特殊な処理がほどこされている。まさに職人芸である。

このようにPICを利用すれば、プレステの何かをパソコンのジョイスティック信号に変換するぐらいわけないのである。とか言ってる間に、第一回終わり。なにか、工作する予定が紹介記事だけになってしまった。ごめん。次回からは、本格的にPICを利用して全人類を恐怖のどん底に...(なにゆうてんねん>俺)

 

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