§11.MODチップの製作 99/11/26

今回は、ゲームラボに書いた生原稿を掲載です。製作記事だけでいいというのに最近に至るまでのプロテクト事情まで書いてしまい、大幅カットになりました(笑)

見ていただければわかると思うのですが、私の原稿は、非常に丁寧な文体で書いているのに、なぜか掲載のときはガキ大将が子分に言うような口調に変わっていたという…(笑) まあ、ゲームラボの読者年齢からすれば、あんな文体のほうが良いのでしょうか…。うーん。謎です。

あと、ピックアップレンズですが、すでにパーツとして入手困難ですんで、もしご入用の方は、壊れているプレステとセットにして修理に出すなどしてください。(何箇所壊れていても定額修理なので、たくさん壊れているほうがお得と言えます:笑)


§ プレステのCDはコピーできるのか?

最近、加速的に普及してきたCD−Rですが、プレステのゲームなどは、CD−Rを使ってコピー(バックアップ)できないのでしょうか?答えは...Yesであり、Noです。データトラックのコピー自体は成功しているのですが、プレステ側は、特殊な方法で起動時にそれがマスターであるかをチェックしています。このチェックに引っかかると、音楽CDとしてしか認識されないのです。

具体的には、CDの最内周にエリアコードと呼ばれる、どこの国のソフトか識別する文字列が記録されています。日本のソフトであれば、「SCEI」という文字が記録されています。(※ 海外のソフトが動かないのは、この文字列がU.SではSCEA、ヨーロッパ圏ではSCEEになっているからです) パソコンのCDライターではこの部分が再現できないのです。



§ そこで、MODチップが登場

そこで、MODチップというのが考え出されました。MODは、MODIFICATION(変更),MODIFY(変更する)の頭文字です。前述のエリアコードと同じパターンの信号(以下、SCEI信号)を送り続けることによって、このチェックに引っかからないようにするものです。

一時期、日本橋(大阪・東京)で、3,000円程度で売られていたのですが、最近は、アクションリプレイの勢力と、プロテクトに対応しきれなくなり入手困難になりつつあります。通産省の例の法案施行後は、販売すらされなくなるでしょう。また、このチップ自体の原価は、200円前後であって、それを3,000円というぼったくり価格で買うのは、馬鹿らしいという話もあります。そこで、今回はMODチップの製作の方法を詳しく解説してみることにします。(※ この手のプロテクト解除機器の販売や提供は規制するが、製造は「新たな技術開発にもつながる」(同省)として規制対象にしないようです)


§ まずは、PICを用意せよ

このMODチップの正体は、PICというMICROCHIP社のICです。PICのPはProgramableのPで、プログラム可能なという意味です。これはワンチップマイコンの類で、これ一つで簡単な演算からある程度の制御まで行なえる便利なICです。炊飯ジャーから、エレベータ制御まで、ありとあらゆるシーンに使われています。MODチップの本質は、SCEI信号を自発的に発生させることにあるわけで、PICは値段も安く入手しやすく、この用途に最適だったわけです。

MICROCHIP社のホームページ:
http://www.microchip.com/

PIC自体は、東京ならば秋月電子通商、大阪ならばデジットかシリコンハウス共立で入手できます。大量に買うならば、秋月の通販のほうが安いですね。

秋月電子通商のホームページ:
http://www1.tomakomai.or.jp/akizuki/

PICは、さまざまな種類があり、安いものから高いものまで何十種類というバリエーションがあります。値段は、MODチップに出来る、一番安い12C508(or 12C509)が、200円前後。ただし、これはwrite once(※ 一度しかプログラムの書き込みの出来ないタイプ)です。

実際のところ、違法コピー防止のため、最近のソフトはプロテクトが施されており、それに対抗すべくMODチップ側も進化を続けています。よって、PICは、write onceタイプではなく、何度も書きなおしの利くタイプを選択したほうが良いと思います。お勧めは16F84です。こちらは、450円〜800円程度で売られています。

MODとして利用するのは、いま挙げた3つが主流です。ショップで販売されているMODチップはほとんどが、12C508(時期によっては12C509)のはずです。チップには12C508の刻印があるのですぐわかると思います。

あと、チップに直に半田しないで、必ずICソケットを利用するようにしましょう。これは、静電気や半田ゴテの熱でPICを壊さないようにするという意味もありますが、MODプログラムのバージョンアップを行ないたいとき、半田がしてあっては困るからです。



§ あなたライター持ってますか?

ちょっと気の早い人ならば、「なんやて!?ほんなら、たかだか300円ぐらいで売ってる、そのなんとかゆーチップを3000円で売ってんのか?」と言われるかも知れませんが(笑)、ちょっと違います。PICは買ってきたままでは、プログラムは何も書き込まれていない白紙の状態なのです。これに、SCEI信号を発生させるプログラムを焼いて(※ 書き込むこと)始めてMODチップに変身するという仕組みなのです。

PICにプログラムを書き込みするための機械は、PICライターと呼ばれています。PICライターは、PICを取り扱っているお店ならたいてい取り扱っています。純正品として入手しやすいのは、MICROCHIP社のPICSTART PLUSというキットです。定価は29,800円で、マニュアルや、Windows上で動作するPIC用のアセンブラ等、開発キット類一式、パソコンと接続するためのケーブル等が入っています。これを買ってくれば、ハード上のトラブル無しに、確実にMODチップが作れます。少し値がはりますが、一番堅実な選択と言えるでしょう。(※ このキットに添付されているCDの、開発ソフトウェアおよびデータシートの類は、すべてMICROCHIP社のホームページからダウンロードできますし、ましてホームページからならば最新の日本語データシートも入手できるので、このCD・マニュアル類は、あまり意味がないかも知れません。)

ある程度、ハードウェアを理解している人ならば、同社のホームページでPICライターの回路図が公開されていますから、それを見て自作する手もあります。秋月電子通商では、PICライターの自作キットを販売していますから、それを利用する人は案外多いのではないでしょうか。このキットはインターネットから通販で買うことも出来ます。キットの値段は5,700円です。腕に自信のある人は、挑戦してみてはどうでしょうか?


§ MODプログラム入手手段

PICライターは用意したけど、PICをMODチップにするための肝心のプログラムは、どこでどうやって入手するのでしょうか?これは、インターネットで簡単に入手できます。たとえば、マニアの間で有名なところでは、REIがあります。

REIのホームページ
http://chip.aeug.org/

もともと、MODチップのプログラムを作ったのは、the Old Crow (Scott Rider)氏だったと思います。プレステの内部に詳しい世界的に有名な人です。この人のプログラムが次々バージョンアップされ、REIではずっとソース(※ プログラムのこと。例:
IF WIRE5
goto store_in_y ;5-wire mode, so variation not needed
ENDIF

btfss mode1,0 ;differnt delay for post-SAN batch code?
movlw 233 ;yes, give it a whirl!
)が入手できたのですが、なぜか今では公開を中止され、HEXファイル(※ 以下のようなもの。
:100000002500000B320C2A00F90C2B000000EB023B
:10001000060A0E070F0A250C2B00EB020D0AEA0256
)しか入手できません。これでは、素人にはプログラムがどういう仕組みになっているのかがまったくわかりません。

別に、MODチップを作るだけならば、HEXファイルだけあれば十分なのですが、ソースを入手して、ある程度の仕組みを理解しておいたほうが良いでしょう。というのも、MODチップは、これで完璧なシロモノではないからです(後述します)


§ 配線図について

もうお分かりいただけていると思いますが、PICに書き込むプログラムによって、ピンのアサイン(※ ICのそれぞれのピンにどんな機能が割付けられてるか。たとえば、SCEI信号を出力するピンは、何番であるかなどの設定)は、異なります。つまり、MODチップと一概に言っても、一種類ではないのです。

よって、MODのプログラムだけダウンロードしてきて、PICに書き込んだとしても、それは市販されているMODチップとは、おそらく異なるということです。つまり、MODチップは作れたけど、配線図がないから、市販のMODチップに付属の配線図を参考に取り付けてみよう!なんてことは、御法度です。絶対にやってはいけません。外見は同じ12C508の刻印があったとしても、中身はプログラム次第でまったく別のものになります。それがProgramableたるゆえんです。

基本的に、ピンのアサインごとに、それに対応する配線図を入手しなくてはなりません。また、プレステの製造番号(※ プレステ本体の下面に書かれています。SCPH-5500ならば5500番台と呼ばれます)ごとに、プレステ側の回路基板が異なるので、それに応じた配線図でなくてはなりません。インターネットでMODのプログラムを配布しているサイトでは、たいてい、それに対応する配線図も公開していますので、そういうところを利用すると良いでしょう。

また、配線図によっては非常に細かい部分に配線するように指示しているものもありますが、そんな細かいところに初心者が取り付けを行なうと半田の熱でICを壊しかねませんので、その指示通りに取り付けるのではなく、他のサイトも回って、いくつかの配線図を参考にして、このピンは、電源ピンだから、こっちからとっても構わないやだとか、このピンはSCEI信号の出力だから、こっちの配線図の場所でもいいやとか、そういう判断が出来ると非常に有利です。(※ 上級者向けのサイトでは、ピンのアサインしか書いていないところもあります)


§ 初期のMODチップについて

ここで少し、市販のMODチップが一体どういうものかを説明します。

去年の年末ぐらいまで、市場に出回っていたMODチップは、たいていこのOld Crow氏のプログラムをそのまま焼いた(※ PICにプログラムを書き込むこと)だけのものだったはずです。知り合いの店の何ヶ所かで取り扱っていたので、それらのチップをすべて調べました。(※ 実際は、コードプロテクションと言って、書き込んだプログラムが見えないように焼いてあります。しかし、データ部まではプロテクションをかけることが出来ないので、そのデータ部についてOld Crow氏のプログラムと比較してみれば、ぴったり一致していました)

具体的な業者名まで書きませんが、わざわざ同じプログラムをピンアサインだけを変更して焼いているところもありました。もちろん、PICの原価は200円前後です。毎回レール単位(50〜100ケ)で大量に買うなら、120円ぐらいになるかも知れません。そこに他人のプログラムを無断で(しかも、ピンアサインだけ変更して)焼いて、数千円で販売するだなんてまったく人を馬鹿にしてますよね…。

少し脇道にそれましたが、その段階では、市場には一種類のMODしか存在せず、あるとしてもだいたいは、wireの違いだけでした。(※ wire(ワイーヤー)とは、PICにつなぐ配線の数のこと)

配線は、電源を得るためのピンが2つ(GND,5V)に、SCEI信号を出すピンが1つ、プレステ側のSCEI信号を受け取るピンが1つで計4つのピンを使っています。俗に言う4-wireとは、このタイプです。一番シンプルな構成ですね。

ところが、PICの内部の発振回路を利用するのでは、温度や環境の変化に対して安定性が悪く販売向きではないで、普通はプレステ側からクロック信号を得ます。(5-wire)(※ 7000番台までと7500番台以降とではプレステの基板の電源電圧が違っています。内部クロックはRC発振回路なので、その電源電圧の違いでも内部周波数が変わってきます。そのため、市販のMODチップは5-wireが主流でした)

さらに、信号は、常に垂れ流し方式なわけで、少しずつタイミングがずれてきて、リセット直後には動作しないという現象が生じる可能性があるので、PICの~MCLR(※ 負論理のリセットピン)をプレステ側のリセットスイッチと同期させるタイプもありました。(6-wire) 去年の年末まで、市場に出回っていたのは、この5-wireか6-wireのものです。(主に配線図とかは前者のものが多かったですね。もちろん、プログラムはすべてOld Crow氏のものです)

このOld Crow氏のv54(※ MODプログラムのバージョンナンバーです)をそのままモジュール化して、半田不要で差し込むだけでOKというようにしたのがv54モジュールの正体だと思います。要は、SCEI信号はずっと出しっ放しということです。(※ このことは、重要です。なぜならRHPに対応できないからです)


§ RHPの出現

MODチップが世間で広く認知され、秋葉原ではMODチップ内臓プレステなるものが売られ始めました。それに業を煮やしたのか、メーカー側も対策を練り始めました。その氷山の一角が、ポポローグとIQファイナル体験版でした。現象としては、MODチップを取りつけてあると、赤い手とともに警告を表示して、ゲームが起動しないというものでした。

マニアの間で、このプロテクトはRHP(Red Hand Protect)と呼ばれました。しかし、プレステの1000番台(初期のもの)では、無改造であるにもかかわらずRHPに引っかかってしまうなど問題が発生し、IQファイナルの製品版には、RHPは採用されませんでした。このことから、RHPはもう出ないのでは?などとまことしやかに噂されたのですが、実際はこの後、RHPは姿・形を変えて、幾度にも渡って出てくることになります。このプロテクト対策の歴史こそが、MODチップ進化の歴史と言っても過言ではありません。いまや、市販されている30数種のソフトでRHP等のプロテクトが搭載されていることが確認されています。


§ RHPの原理

先に書いた通り、初期のMODチップはプレステの電源をONした直後からSCEI信号をずっと流していました。本来ならば、あってはいけないはずの場所ででも、SCEI信号は垂れ流しだったわけです。初期のRHPは、これに目をつけたのです。本来ならば、存在しないはずのSCEI信号があれば、改造プレステと判断する。これがポポローグで採用されていたRHPです。


§ ポポチップの出現

対策はいくつか考えられました。MODチップを、RHP対応にしてしまおうという考え方。これが、ポポチップです。つまり、リセット信号のあと一定時間だけSCEI信号を送り、その後、SCEI信号の送信を止めるというものです。タイマー方式などとも呼ばれます。これは、初期のいくつかのRHPに対応できましたし、それなりの成果はありました。リセット信号を受け取り後、一定時間で信号を止めるだけなので、配線を変更せずに差し替えが利くなど意外と便利でした。(※ もちろん、半田を直に付けていた人は泣きを見たでしょうけれど)


§ 切り替えスイッチでRHPに対抗する

もう一つの方法は、SCEI信号を送出しているピンと、オリジナルのSCEI信号をプレステから受け取っているピンにスイッチを取り付けるという方法でした。当初、私がスイッチを取り付けたときは原始的だなんだと周囲から馬鹿にされたのですが(笑)、あとになって、これは、意外と効果があることがわかりました。というのも、MODチップのチェック(※要するに、存在してはいけないはずのないSCEI信号をチェックすること)のタイミングを変更し、ポポチップで対応できないものが出てきたからです。

市販のMODチップ業者も、スイッチを取りつけるかアクションリプレイ等で改造コードを打ち込むかで対応するようにショップ側にFAXを流していました。REIのプログラムのそのまま焼いた場合、前述の「SCEI信号を送出しているピン」と、「オリジナルのSCEI信号をプレステから受け取っているピン」は、それぞれ5番と6番なので、5番と6番ピンにスイッチ(※ 一つのスイッチで、この2つの配線が同時にオフの状態になる2チャンネルのものが良い)を付けなさいというのが格言のように言われるようになりました。

ところが、再三言うように、この2つのピンが5番と6番であるかどうかは、そのプログラム次第です。業者によっては、自分のところで作ったように見せるためにピンアサインだけ変更していたりします。初心者向けのMOD掲示板で「スイッチは、どのピンにつけるのですか?」なんて質問をよく見掛けますが、そんなものは、何チップで、どのプログラムを焼いてあるのかわからないので何とも言えないのです。仮に、12C508に限定すれば、まあ、1番と8番が電源ピンで、4番は~MCLRですから、それ以外の余ってるやつということになるのでしょうが、12C508は、~MCLRだって設定によっては出力に使えるのでこれがリセットピンとして使用されているかどうかさえ不確かなのです。

だから、どのピンが何の働きをしているかぐらいは知っておかないと、スイッチ取り付けさえ出来ないのです。

§ disc交換時のチェック

しかし、メーカー側も、手をこまねいて見ていたわけではありません。MODチェックを行なう回数を増やしてきたのです。たとえば、2枚組のゲームならば、ディスク入れ替え時にチェックするのは常識となってきました。
これに対抗すべくMODチップのプログラムにも改良が加えられました。つまり、カバースイッチ(蓋の開閉)を調べて、蓋が開いていればSCEI信号の送出を停止する。蓋が閉まってから、一定時間だけSCEI信号を送出し、その後、SCEI信号を停止するというものです。

こうなってくると、いたちごっこは加速する一方で、このへんに来てMOD側を改良するより改造コードを打ち込んだほうが良いのではないかだとか、改造パッチを当てたほうが良いのではないか(※ CD−Rを焼くときに、プロテクトチェックを行なう部分を書き換えて焼くこと。)という考え方も生まれてきました。今回の記事の趣旨から外れるので詳しい話は、割愛します。

ともかく、disc交換時のチェックは、切り替えスイッチでもなんとか回避できます。つまり、disc交換直後のSCEI信号チェックのときはスイッチをOnしておき、しばらくしてからMODチェックされると困るので一定時間後にスイッチをOffにするというやりかたです。これが重要です。


§ 変則的なRHP

そして、ポケットムームーのように、SCEI信号をチェックし、そのあとMC(メモリーカード)をダミーで(?)読みに行った直後にMODチェックするものが出てきました。そうなってくると、従来のSCEI停止タイミングとは変わってくるわけで、これをタイマー方式で対応しようとすると、非常にシビアな調整が要求されました。タイマー停止型MODチップの破綻です(笑)しかし、MODチェックの前にMCカードを読みに行くことがわかったことは幸運でした。

それで、SCEI信号を停止させるタイミングとしてMCのアクセス信号を監視すればどうかということになったのです。しかし、MCにアクセスの無いソフトに対してだとSCEI信号は、出しっ放しになるので、またMODチェックに引っかかってしまいますから、MCのアクセス信号が一定時間ない場合は、SCEI信号は止めるようにしました。MCチェックとタイマー方式の複合型MODチップの誕生です。

また、前述のように、2枚組のソフトだとdisc交換のときにSCEI信号チェックに引っかかるので、ドア監視も行ない、ドアが開いている間はSCEI信号は送出せず、閉じられてから一定時間だけSCEI信号を送出します。

これが、俗に言われる7-wire版MODチップです。5-wire版のMODから、蓋開閉信号入力とMCのアクセスチェック信号の2つが増えているというわけです。これで、現存するほとんどのソフトに、対応できると言えます。ショップで売られている(あるいは、売られていた)最新のMODチップがこのタイプです。


§ 7-wireの最新MODチップのプログラムをダウンロードしよう!

7-wire版のMODのHEXファイルは、

おやじさんのホームページ:
http://www.t-cnet.or.jp/~iaa/

から入手できます。(HEXファイルをPICに焼く方法は、後述します)

ここには、その配線図もありますし、PICのプログラム解説ページなどへのリンクも紹介されており、非常にお勧めです。ただ、このリンク先などで、初心者(とくにろくに自分で調べない人)の方が「×××教えて」というような失礼な質問をメールしないように注意して欲しいと言われていました。わからないことがあれば掲示板(おやじさんのページの)に書いてもらえれば、良いのでとのことでした。


§ DCPの登場

おそらく、これでMODにも決着が付くような気がするのですが、ディノクライシスで使用されているプロテクトです。内容はSCEI信号をチェックして、ほぼ同時にMODチェックを行なうというものです。MODチェックは、前述の通り、本来有ってはならないはずのSCEI信号の監視ですから、MODチップ側で、この瞬間にSCEI停止させなければなりません。非常にタイミングがシビアなのでタイマー方式ではこの瞬間に止めることは、まず不可能です。

このプロテクトは、DinoCrisisProtectあるいは、同時にチェックすることからDoubleCheckProtect、略してDCPと呼ばれています。MODチップでこれに対抗するのは、非常に難しいのです。

今後、プロテクトは、このDCP方式が主流になってくるでしょう。

しかし、ディノクライシスに限って言えば、前述の切り替えスイッチでこのプロテクトを回避できます。タイミングは非常にシビアなので画面など見ていたら到底間に合いませんが、要はピックアップが最内周にあるときにSCEI信号のチェックが行なわれるので、ピックアップのシーク音を聞いて、そのタイミングでスイッチをOn,その直後にOffという作業をDCPの行なわれる場所で行なえば良いのです。


§ DCPに対抗するMOD

では、DCPを回避できるMODチップは作れないのでしょうか?いや、可能です。実際に作られた方はおられます。たとえば、ピックアップ最内周スイッチを使う方法です。これは、ピックアップがCDの最内周にあるときにOnになります。エリアコードはCDの最内周にあるので、これが利用できます。

また、SCEI信号のチェックは実は、(倍速ではなく)等倍速モードでしか行ないませんので、その信号も使えます。ただ、前者は、CDが最内周にあるかのスイッチではなく、厳密には、オーバーシーク防止用(※ 最内周を超えて内側をシークしないためのスイッチ)のようで、SCEI文字列を記録してある場所は、それより手前なので機種によっては使えないかも知れません。

他にも手段はいろいろ考えられますが、今回の記事の範疇を超えますので、割愛します。今後もMODチップは確実に進化していくでしょうし、逆に、MOD対策も進化していくと思われます。

ただ、以前よりソースを公開される方は減りました。その背景には、自分たちが苦労して作ったプログラム(ときには、プレステを何台か壊している)を、ただピンアサインだけ変更して甘い汁を吸おうとするMOD販売業者に嫌気が差したからというのが大きな理由です。


§ PICの焼き方

PICSTART PLUSに付属のMPLABというのが、統合環境で、これひとつでアセンブル(ソースファイルからHEXファイルを作ること)からPICのデータの読み込み・書き込みまで行なうことが出来ます。PICSTART PLUSを持っている人は、まず、これをインストールします。(※ MPLABの最新版は、MICROCHIP社のホームページからダウンロードできますので、なるべく最新版を使うようにしましょう。また、pdf形式の日本語マニュアルが同ホームページからダウンロードできますので、ここの説明で理解できないことは、そちらを参照してください。)

ここでは、MPLABを使ってHEXファイルの内容をPICに焼く方法について解説します。

まず、File→Import→Download To MemoryでHexファイルを選択し、メモリに読み込みます。
Picstart Plus→Enable Programmerを選択します。
そして、各オプションを選択して(※ 添付のgamelab9908_01.jpg)、Programを押すのですが、ちょっと待ってください!

各オプションは、どのように設定すれば良いのでしょうか?初心者の方が一番悩まれるのは、ここではないかと思いますので、詳しく書きます。(※ なお、ここに出てくる文字は、MPLABのバージョンによって多少異なります。あらかじめご了承ください)

Device:これは、PICの使用するデバイス名ですね。ホームページから12C508用のHEXファイルをダウンロードしてきたならば、12C508を1ケ用意して、このデバイス名のところは12C508を選択するのです。簡単ですね。

Oscillator:は、外部からクロックパルスを得るのか、それとも内部のRC発振回路を使うのかの設定です。ダウンロードして来たプログラムは、どちらの設定のものですか?内部のRC発振回路を使用するならばInnerRC,外部のクロックパルスを使うタイプならば、XT(クリスタル)を選択しましょう。

Watchdog Timer:これは、日本語訳すると番犬タイマですね。これをOnにしていると、一定時間ごとにリセットを掛けてくれます。割り込み制御等で使うのですが、いまは関係ありません。途中でリセットがかかると困るので、こいつはOffです。

MasterClear:これは、~MCLR(4番ピン)をどのような機能に割り付けるかです。これをリセット信号に使うならば、クリアは外部から入力を得るという意味で、Externalを選択します。もし、このピンに他の機能を割り付ける場合は、クリアは自前で行なうという意味でInternalを選択します。MCLR OFFと言えば、このピンは使わない=Internalの意味です。

CodeProtect:コードプロテクトです。書き込んだコード部分が読めないようにする機能です。これは、どちらでも構いません。

以上で、わからない部分があれば、MODのソースプログラムの最初のほうの行にたいていFUSEとして書いてありますから、それを見れば参考になると思います。(HEXファイルのみを配布する場合でも、このオプションぐらい書いておくのが礼儀だと思いますが...。まあ、ピンアサイン表で4番ピンがマスタークリアとなっていれば、MasterClearはExternalを選択し、2番ピンが外部クロック入力などとなっていれば、OscillatorはXTを選択するというぐらいのことは常識かも知れませんね)


§ 最後に...

今回、情報提供をいただいたおやじさん、Gioさん、ありがとうございました!

ところで、
プレステの黒CDは傷がつきやすいのでバックアップをとる → ○
バックアップをとったので、マスターCDは売ってしまう → ×
マスターは傷つくといやなので、バックアップをとって、そちらを友達に貸す → ×
です。

また、改造は、自分の責任において行ないましょう。プレステ本体が壊れてもメーカー保証は利きませんし、
改造品だとわかるとソニーは修理をしてくれない可能性もあります。万が一、壊してしまって修理に出す
場合、少なくとも半田の跡ぐらいは綺麗に取りましょう。修理費用は、どれだけ壊れていても一律で7,000円
程度だったと思います。

それと、ピックアップの性能が悪い or CD-Rメディアとの相性が悪いとコピーは成功していてプロテクトに引っかかっているわけでもないのに、うまく読み込めない可能性があります。CD-Rで焼いたほうは、やたらロード時間が掛かる場合などは、読み込みエラーが発生して何度も読み直しをしていることが原因として考えられます。そういうとき、ピックアップの可変抵抗を調整すれば、うまく読めます。それについては、私のページ、

http://bm98.yaneu.com/

で簡単に紹介しています。参考になれば幸いです。

それでは、よきMODライフを送ってください!読者諸氏の健闘を祈っています。


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